90年代の後半、「Set the Twilight Reeling」をリリースした頃のルー・リードだと思うのだけれど、インターネットが普及していく中で、音楽のみならず様々な芸術はマスメディアから解放されて人々の手に帰ってくるんだという趣旨の答えをインタビューでされていた覚えがあります。確かデビットボウイも同じようなことを言っていたような。
その時はふーんと思っていたのだけれど、テクノロジーが進歩して手の中にハイパワーなツールが握られる様になると、本当に僕たちが発する言葉や音、様々なものがマスメディアではなく直接人々に広げることができるようになりました。
するとこれまでマスメディアが「選んで」届けていたモノよりも、自分で見つけたものにみんな興味津々で、小さな集まりがあちこちで自然発生しているのだと思います。まるで昔の村祭りのように。遠くで聞こえる街の音もいいけれど、すぐそこで繰り広げられる祭りに人々が集まるのです。太鼓が打ち鳴らされたり笛が吹かれたり、漫談もあったり落語もあったり。ステージでは演劇や音楽の演奏が繰り広げられる。これが「人々の手に帰ってくる」ということなのかな?
「犀の角」はそんな夢のような場所です。
さらには今回のオープンマイク・イベント「犀の夜」は、その最たるものだと思うのです。
のど自慢や語り部たちが「今宵こそは!」と鼻息荒く集まってきます。中には「こんな演奏でもいいのかなぁ」ともじもじ楽器を担いでくる青年もいるかもしれません。でも、私たちの手に戻ってきたのですから、誰に遠慮もいりません。気に入れば大いに手を叩き、足を踏み鳴らします。楽しければ盛大に笑って過ごすのです。そして、それは手のひらから次の誰かに伝わり、新たな村人がその場所に集うのです。なんて素晴らしいことでしょう。
カフェやパブで始まったオープンマイクの文化が、テクノロジーが進んだこの世の中にベストマッチするなんて、90年代の僕には想像もつきませんでした。でもルー・リードはきっと思っていたんだろうなぁ。高い空の上から。サテライト・オブ・ラブ。心から音楽や演劇や文芸を愛する人たちが集う場所が生まれると。
間近で観る音楽や太鼓、語り、踊り、言葉が何よりも、「新しく」大切なことになると思う。
こんな村祭りのような楽しいひとときに
ゲストパフォーマーとして出演させていただくことになりました。感謝です。
ぜひ「犀の夜」にお出かけください。
■ 犀の夜 act.15〜犀の聖誕祭・オープンマイクすぺしゃる〜 ■
2019年12月28日(土) 開場:18:00 開演:18:30
犀の角(長野県上田市海野町商店街)
料 金:1500円(1ドリンクつき)
ペアチケット:2800円(2名・2ドリンクつき)
■ゲストライブ
tessy(ギター弾き語り)
笹田美紀(ピアノ叩き語り)
なおやマン(参加体験型ショー)